コラム
2025-08-19 10:00:00
祖父の想い
「ミシミシという音がして雨もりしたんだよ。」「草屋根の家はしなってとても中にいられる状態ではなく、家族9人で竹やぶの小屋に逃げたんだ。」
防災の意識が高まるこの時期、おばや私の父は怖かった記憶をまるで昨日のことのように話してくれます。1959年(昭和34年)9月伊勢湾台風のことです。
この地で独立した祖父は父親と一緒に大工として建築業を営んでいました。カッコよさよりも丈夫さを地で行く頑固者の祖父。丈夫な家の大切さを身に染みてわかっていたのかもしれません。
その後、草屋根の家から瓦屋根の家に建て替え、家族で暮らしていました。60年経った今年、その瓦屋根の家を屋根と柱だけを残して改修しました。
ひとつひとつ家を分解していると、なかなか外れない部分がありました。”ほぞ”という木と木を組み合わせる部分がしっかりとしていて、なかなか外れなかったのです。家が建って60年を経て気づく、祖父の想い・・・。
「建物は人よりも長生きするんだよ」と、祖父に改めて教えてもらった気がしています。