コラム

2026-06-15 10:00:00

台所仕事

今思えば、母の台所仕事は、常に戦いのようでした。

祖父母、父と母、私たち姉妹、大工のお弟子さんたち。畑仕事の合間に買い物をし、食事をつくるのは時間との戦い。

みんながお腹を空かせて待っているという状況はずいぶんと大変だったことでしょう。

友人は「裕子ちゃん家は、いつもそうめんかうどんだった」と言います。うちに遊びに来ると母が「食べていきん」と勧めてくれて、テレビのある居間でお昼を一緒に食べた思い出を語ってくれました。

人数が増えようがお構いなしに食事をつくってくれていた母。

それがあまりにあたりまえの光景だったので、そうめんやうどんが多かったけれどそれが不満だった記憶はありません。

献立よりたくさんの人で囲むにぎやかな食卓が貴重だったことに、今更ながら気づかされます。

大変だったであろう台所仕事は、母にかかればまるで息をするのと同じくらい自然なことに見えていました。

家族だけではない、人と人とのつながりも母は台所仕事でつくってくれていたのかな。

今の時代だからこそ、そんな台所仕事が必要なんじゃないかなと思うのです。

家は、台所から生まれる時間や人とのつながりによって育まれるものなのかもしれません。